「うちの子、算数の『速さ』が全然できなくて…」 「『はじき』の公式は覚えたのに、文章問題になると手が止まってしまう」
小学5年生で習う「速さ」は、多くのお子さんがつまずきやすい単元のひとつです。特に、中学受験を考えているご家庭にとっては、この単元の苦手意識は大きな悩みの種ではないでしょうか。
この記事では、算数の「速さ」でつまずいている小学5年生のお子さんを持つ保護者の方向けに、「はじき(みはじ)」の公式に頼らず、本質的な理解を促す教え方を徹底解説します。
この記事を最後まで読めば、お子さんが「速さ」の概念をイメージできるようになり、応用問題にも自信を持って取り組めるようになります。ぜひ、お子さんへの声かけや指導の参考にしてください。
小5が算数の速さでつまずく3つの原因

まず、なぜ多くの子どもたちが「速さ」でつまずいてしまうのでしょうか。主な原因は3つあります。原因を知ることで、的確な対策が見えてきます。
「速さ」という抽象的な概念の未理解
子どもたちが最初につまずくのは、「速さ」という概念そのものが目に見えず、イメージしにくい点です。
例えば、「時速60km」と言われても、大人は車のスピードメーターなどで経験的に理解できますが、子どもにとっては「1時間で60km進む」という関係性がピンと来ません。「道のり(距離)」や「時間」はまだイメージできても、それら2つの量からなる「速さ」という“割合”の考え方を理解するのが難しいのです。
単位換算(時速・分速・秒速)の混乱
「速さ」の単元で避けて通れないのが単位換算です。特に時間の単位は、1時間が60分、1分が60秒という「60進法」が使われるため、普段使い慣れている「10進法」との違いに子どもたちは混乱します。
このような単位換算がスムーズにできないと、計算問題で次々とミスをしてしまい、苦手意識が加速してしまいます。
文章問題の読解力不足
速さの問題は、そのほとんどが文章問題です。問題文が長くなったり、状況が複雑になったりすると、何が問われていて、どの情報を使って式を立てればよいのか分からなくなってしまいます。
これは算数の計算能力以前の「読解力」の問題でもあります。問題の場面を正しくイメージできていないため、どの公式を使えばよいか判断できず、手が止まってしまうのです。
速さの単元に限らず、日々の学習で「なぜか思うように点数が上がらない」と悩んでいる場合は、成績が伸び悩む根本的な原因と具体的な解決策をまとめたこちらの記事もチェックしてみてください。
「はじき」計算に頼る学習の危険性

速さの学習でよく使われる「は・じ・き」や「み・は・じ」のテントウムシのような図。これを覚えれば計算はできますが、多くの専門家がその危険性を指摘しています。
公式の丸暗記では応用問題が解けない
「はじき」の公式は、速さ・時間・距離のうち、2つの量が分かっていれば残りの1つを計算できる便利なツールです。しかし、それはあくまで基本的な問題に限られます。
中学受験で出題されるような応用問題では、単純に公式に当てはめるだけでは解けない問題がほとんどです。例えば、2つのものが動く「旅人算」や、時間の差を考える問題など、複雑な条件を整理して考える力が求められます。公式を丸暗記しているだけでは、どの数字をどこに当てはめればよいか分からず、思考停止に陥ってしまいます。
なぜ「はじき」がダメと言われるのか?
「はじき」がダメと言われる最大の理由は、子どもが「なぜその計算をするのか」を考えなくなるからです。
「距離を求めたいから、速さ×時間」と機械的に計算するだけで、その式の意味を理解しようとしません。これでは、算数で最も大切な「論理的に考える力」が育たず、少しひねった問題が出た瞬間に太刀打ちできなくなります。「はじき」は、考えるプロセスを省略してしまう、いわば思考のショートカットであり、長い目で見ると子どもの学力を伸ばす妨げになる可能性があるのです。
公式を本質的に理解させるための前提
では、「はじき」は一切使ってはいけないのでしょうか?結論から言うと、公式の意味を完全に理解した上で、計算の確認用として使うのであれば問題ありません。
大切なのは順番です。「はじき」を入り口にするのではなく、まずは速さ・時間・距離の関係性を本質的に理解させることが最優先。その上で、公式はあくまで便利な道具の一つとして位置づけるべきです。
速さ・時間・距離の関係を教える3ステップ

ここからは、「はじき」に頼らず、お子さんが速さの本質を理解するための具体的な教え方を3つのステップでご紹介します。
ステップ1:身近な例でイメージを掴む
まずは抽象的な「速さ」の概念を、お子さんの身近なものに置き換えてイメージを掴ませましょう。
大切なのは、速さ・時間・道のりの3つの量がセットになっていることを実感させることです。
ステップ2:線分図で関係を可視化する
言葉だけではイメージしきれない関係性は、線分図を使って「見える化」するのが最も効果的です。速さの問題を解くときは、必ず線分図を描く習慣をつけさせましょう。
【例題】 時速60kmの車が2時間走ると、何km進みますか?
- 道のりを表す一本の線を描く
- 速さを書き込む(1時間で60km進むことを示す)
- 時間を書き込む(2時間走ったことを示す)
<---- 1時間 ----><---- 1時間 ----> | 60km | 60km |道のり --------------------------------- <---------- 2時間 -------------> ? km
この図を見れば、「60kmが2つ分だから、60 × 2 で 120kmだ!」と、お子さん自身が視覚的に理解し、自然と掛け算の式を導き出せるようになります。
ステップ3:言葉の式で公式の意味を理解
線分図でイメージが掴めたら、記号の公式ではなく「言葉の式」で関係を整理する練習をします。
このように、言葉で式の意味を理解することで、なぜその計算をするのかが明確になります。 このステップを踏んでいれば、「はじき」の図に頼らなくても、自力で正しい式を立てられるようになります。
速さの本質をしっかり理解した上で、日々の学習で学んだ内容を効率よく定着させるための予習・復習の効果的なやり方をこちらの記事でマスターしておきましょう。
つまずきやすい単位換算の克服法

速さの計算で大きな壁となる単位換算。ここも一つひとつ丁寧に分解して考えれば、必ず乗り越えられます。
「時間」の単位換算(時・分・秒)
まずは基本となる時間の単位換算です。小数や分数に慣れることがポイントです。
「2時間15分」のような場合は、まず「15分」を時間に直す練習をしましょう。 15分 = 15/60時間 = 1/4時間 = 0.25時間なので、2.25時間となります。
「速さ」の単位換算(時速・分速・秒速)
速さの単位換算は、「道のり」と「時間」の2つの単位を同時に変換する必要があるため複雑に感じます。「時速〇km」を「分速△m」に直す、といった典型的な問題を分解して考えましょう。
【例題】 「時速36km」は「分速何m」ですか?
- 言葉の意味に分解する: 「時速36km」=「1時間で36km進む速さ」
- 道のりの単位を変換する: 36km = 36000m → これで「1時間で36000m進む速さ」になりました。
- 時間の単位を変換する: 1時間 = 60分 → つまり「60分で36000m進む速さ」ということです。
- 分速(1分あたり)を計算する: 求めたいのは「分速」、つまり「1分あたりに進む道のり」です。 36000m ÷ 60分 = 600m よって、答えは「分速600m」となります。
このように、焦らず一つずつ単位を揃えていくことが克服の鍵です。
単位換算の練習問題と丁寧な解説
【問題1】 1.2時間は何分ですか? 【解説1】 「時間」を「分」に直すので、60を掛けます。 1.2 × 60 = 72分
【問題2】 90分は何時間ですか?(分数で答えましょう) 【解説2】 「分」を「時間」に直すので、60で割ります。 90 ÷ 60 = 90/60 = 3/2時間 (1と1/2時間)
【問題3】 秒速15mは時速何kmですか? 【解説3】
- 意味の確認:「1秒で15m進む」
- 分速に直す:1分は60秒なので、15m × 60 = 900m。→「分速900m」
- 時速に直す:1時間は60分なので、900m × 60 = 54000m。→「時速54000m」
- 単位をkmに直す:54000m = 54km。 よって、答えは「時速54km」です。
単位換算や複雑な計算でうっかりミスを防ぎ、テスト本番で確実に得点を重ねるための具体的な見直し方法をあわせて確認しておきましょう。
【中学受験】速さの応用問題パターン別解説

基本が身についたら、いよいよ応用問題に挑戦です。中学受験で頻出の3つのパターンについて、線分図を使った解き方のポイントを解説します。
旅人算(出会い算・追いつき算)の解き方
2つの動くものを考える問題です。ポイントは「2人の間の距離がどう変化するか」に着目することです。
出会い算(向かい合って進む)
離れた2人が向かい合って進み、出会うまでの時間を求める問題。
追いつき算(同じ方向に進む)
先にスタートした人を、後ろから来る人が追いかける問題。
通過算(鉄橋・トンネル)の解き方
電車が鉄橋やトンネルを通過する問題です。ポイントは「電車の先頭がどれだけ動いたか」を考えることです。
流水算(上り・下り)の解き方
川を船が進む問題です。「静水時の速さ」と「川の流れの速さ」の関係を整理することが重要です。
家庭でできるレベル別練習問題プリント

ここでは、ご家庭で取り組める練習問題をご用意しました。お子さんのレベルに合わせてチャレンジしてみてください。
【基礎】速さ・時間・距離の基本計算問題
問題1: 分速70mで歩く人が、15分間歩くと何m進みますか? 答え 70 × 15 = 1050m
問題2: 180kmの道のりを、時速60kmの自動車で行くと何時間かかりますか? 答え 180 ÷ 60 = 3時間
問題3: 45分間で3600m進む自転車の分速は何mですか? 答え 3600 ÷ 45 = 分速80m
【標準】単位換算を含む文章問題
問題1: 時速4.8kmで歩く人が、720mの道のりを進むのに何分かかりますか? 答え
- 速さの単位を分速mに直す。時速4.8km = 時速4800m。
- 4800 ÷ 60 = 分速80m。
- 720m ÷ 80m/分 = 9分
問題2: 秒速25mで走る電車が、1.8kmの鉄橋を渡り始めてから渡り終えるまでに何秒かかりますか? 答え
- 距離の単位をmに直す。1.8km = 1800m。
- 1800m ÷ 25m/秒 = 72秒
【応用】中学受験レベルの速さの問題
問題1(出会い算): A君の家とBさんの家は1.5km離れています。A君は分速80m、Bさんは分速70mで、同時にお互いの家に向かって出発しました。2人が出会うのは出発してから何分後ですか? 答え
- 距離の単位をmに直す。1.5km = 1500m。
- 2人の速さの和は 80 + 70 = 150m/分(1分間で150m距離が縮まる)。
- 1500m ÷ 150m/分 = 10分後
問題2(通過算): 長さ120mの電車が、時速90kmで走っています。この電車が長さ780mのトンネルを完全に通過するのに何秒かかりますか? 答え
- 速さの単位を秒速mに直す。時速90km = 時速90000m。
- 90000 ÷ 3600 = 秒速25m。
- 電車が進む距離は 120m + 780m = 900m。
- 900m ÷ 25m/秒 = 36秒
応用問題までステップアップしたあとに、苦手な単元を克服しつつ無理なく学習を継続するための具体的な勉強計画の立て方を確認したい方はぜひ以下の記事もご覧ください。
「はじき」の公式に頼らない教え方や線分図の重要性を知っても、「実際に我が子に教えてみると、単位換算や旅人算の図の描き方でまたつまずいてしまう」「家で何度も説明するのが難しく、つい親子でイライラしてしまう」とお悩みではありませんか?すべてをご家庭だけで抱え込んでしまう前に、算数指導のプロに頼ってみることも大切な選択肢です。
学研の家庭教師では お子様が苦手意識を持ちやすい「速さ」や複雑な文章問題についても、一人ひとりの理解度に合わせてマンツーマンで丁寧に指導を行っています。「算数の苦手を克服して自信をつけてほしい」「自宅での教え方に限界を感じている」という方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。
まとめ
今回は、小学5年生の算数でつまずきやすい「速さ」の苦手克服法について、「はじき」に頼らない本質的な教え方を中心にご紹介しました。
最後に、この記事の重要なポイントを振り返ります。
「速さ」の単元は、一度コツを掴めば得点源に変わります。焦らず、お子さんのペースに合わせて、一つひとつのステップを丁寧に踏んでいくことが何よりも大切です。この記事が、お子さんの「わかった!」という笑顔と自信に繋がることを心から願っています。





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