「SAPIXの入室テストは難しいって本当?」「しっかり準備しないと落ちるのかな…」
難関中学への高い合格実績で知られるSAPIX(サピックス)。その門をくぐるための最初の関門が「入室テスト」です。お子様の中学受験を考え始めた保護者の方にとって、このテストは大きな不安の種かもしれません。
特に、入塾者が急増する新4年生(現3年生)の保護者の方は、「どんな対策をすればいいの?」「うちの子でも合格できる?」と悩んでいるのではないでしょうか。
この記事では、SAPIXの入室テストについて、長年中学受験指導に携わってきた専門家の視点から、以下の点を詳しく解説します。
- ・気になる難易度や合格率の目安
- ・学年別の具体的なテスト対策と準備
- ・過去問の有無とおすすめの市販問題集
- ・申し込みから結果発表までの流れ
この記事を読めば、入室テストに対する漠然とした不安が解消され、今すぐ家庭で始められる具体的な準備方法がわかります。お子様の挑戦を万全の体制でサポートするために、ぜひ最後までお読みください。
まずはSAPIXという塾そのものがどのような特徴を持っているのかを理解することも大切です。
【SAPIX 入室テスト】難易度と合格率

まず、多くの方が最も気にしている入室テストの難易度や合格率について見ていきましょう。
「落ちる」は本当?近年の合格率目安
SAPIXの入室テストについて、「合格するのは難しい」「簡単に落ちる」という評判を聞いたことがあるかもしれません。
SAPIXは公式に合格率を発表していませんが、一般的には全体の6〜7割程度が合格すると言われています。ただし、この数字は校舎の空き状況や学年、受験する時期によって大きく変動します。
特に、新4年生の入室テストは受験者数が多いため、他の学年より合格のハードルが少し高くなる傾向があります。
結論として、準備をすれば十分に合格は狙えますが、誰でも簡単に入れるわけではない、というのがSAPIX入室テストの実態です。不合格になる可能性も念頭に置き、しっかり対策して臨むことが重要です。
入室テストに合格するための具体的な対策や準備方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
学年別の合格基準点とクラス分け
入室テストの合格基準点も、合格率と同様に公式には発表されていません。
一般的に、全体の5割程度の得点が合格ラインの目安とされています。ただし、これはあくまで目安であり、テストの平均点によって毎回変動します。
重要なのは、このテスト結果が入室の可否だけでなく、入塾後のクラス分けにも直結するという点です。SAPIXでは成績順にクラスが編成され、最上位の「α(アルファ)クラス」からアルファベット順にクラスが続きます。
より上位のクラスでスタートするためには、合格ラインぎりぎりではなく、できるだけ高得点を目指すことが大切です。
特に多くのご家庭が目標とするのが、最上位であるαクラスへの在籍です。どのような基準や学習法が求められるのかは、こちらの記事で詳しく解説しています。
不合格になる理由と再挑戦の可否
残念ながら不合格となってしまう場合、主な理由として以下の3つが考えられます。
- ・基礎学力の不足: 学校の授業レベルを超えた問題に対応できるだけの基礎が固まっていないケースです。
- ・問題形式への不慣れ: SAPIX特有の、思考力や記述力を問う問題形式に戸惑い、時間内に解ききれないことがあります。
- ・ケアレスミス: 問題文の読み間違いや計算ミスなど、本来解けるはずの問題を落としてしまうケースです。
もし不合格だったとしても、落ち込む必要は全くありません。SAPIXの入室テストは、定員に空きがあれば何度でも再挑戦が可能です。
一度不合格になったことで、お子様の弱点や課題が明確になります。それをバネにして対策を練り直し、次のテストでリベンジを果たしましょう。
【SAPIX 入室テスト】学年別の準備と対策

入室テストの内容は学年ごとに異なります。ここでは、特に重要な学年を中心に、具体的な対策方法を解説します。
【最重要】新4年生(現3年生)の対策
新4年生は、中学受験のカリキュラムが本格的にスタートする学年であり、SAPIXへの入塾者が最も多くなるタイミングです。そのため、テストの難易度も上がり、しっかりとした準備が合否を分けます。
- ・算数: 単純な計算問題だけでなく、思考力を問う文章題や図形問題が中心になります。「植木算」や「和差算」といった特殊算の考え方が必要な問題も出題されるため、学校の教科書レベルを超えた学習が不可欠です。
- ・国語: 大人の読むような説明文や物語文の長文読解が出題されます。文章量が多く、内容を正確に読み取った上で、記述式で解答する力が求められます。語彙力や漢字の知識も重要です。
新4年生のテストは、付け焼き刃の対策では通用しません。少なくとも数ヶ月前から計画的に準備を始めることをおすすめします。
新1年生・新2年生の対策
低学年のテストは、ペーパーテスト形式に慣れることと、学習の土台となる力を測ることが目的です。
- ・テスト内容: 国語・算数という教科の垣根を越えた、「思考力」や「発想力」を問う問題が多く出題されます。例えば、パズルのような問題、お話を聞いて質問に答える問題などです。
- ・対策のポイント: 特別な対策は不要と言われることもありますが、問題文を最後までしっかり読み、丁寧に答える練習はしておきましょう。市販の幼児向けドリルや知育教材に取り組むことも有効です。
新3年生の対策
新3年生になると、徐々に学習内容が本格化してきます。
- ・テスト内容: 国語・算数の2科目になります。算数では九九の範囲を超えた計算や文章題、国語では少し長めの文章読解が出題され始めます。
- 対策のポイント 学校の勉強でつまずきがないかを確認し、基礎を固めることが最優先です。その上で、少し応用的な問題集にチャレンジしてみると良いでしょう。
新5年生・新6年生の対策
高学年での入室は、定員の空きが少なく、テストの難易度も格段に上がります。すでに塾で学習を進めている生徒がライバルになるため、相応の準備が必要です。
- テスト内容 算数・国語・理科・社会の4科目(または算・国2科目)となり、出題範囲は学校の進度を大きく超えます。特に算数では特殊算、理科・社会では幅広い知識が問われます。
- ・対策のポイント: SAPIXのカリキュラムに追いつくための高度な学力が求められるため、独学での対策は非常に困難です。他の個別指導塾や家庭教師などを利用して、専門的な対策を行うことを強く推奨します。
【SAPIX 入室テスト】家庭でできる具体的なテスト対策法

SAPIX入室を目指すにあたり、家庭でできる具体的な対策方法をご紹介します。
過去問の有無とおすすめ市販問題集
多くの方が気になるのが過去問の存在ですが、SAPIXは入室テストの過去問を一切公開していません。また、テスト問題の持ち帰りも禁止されています。
そのため、対策としてはSAPIXの出題傾向に近い市販の問題集を活用するのが最も効果的です。
おすすめの市販問題集
- ・きらめき算数脳(SAPIXメソッド): SAPIXが出版している、思考力や発想力を鍛えるための問題集です。低学年から中学年まで、楽しみながら取り組めるパズル的な問題が多く、SAPIXの算数が求める力を養うのに最適です。
- ・ピグマシリーズ(SAPIXメソッド): SAPIXの通信教育「ピグマキッズくらぶ」の教材を書籍化したものです。国語・算数の両方があり、カリキュラムに沿って学習を進められます。
- ・トップクラス問題集/スーパーエリート問題集: 中学受験向けのハイレベルな問題集です。学校の学習内容に余裕があるお子様が、さらに応用力を身につけるために適しています。
これらの問題集を1冊に絞り、繰り返し解いて完璧に理解することが、力をつけるための近道です。
国語の出題範囲と学習ポイント
国語で高得点を取るためには、以下の2つの力をバランス良く伸ばすことが重要です。
- ・読解力: 長文に慣れることが何よりも大切です。普段から少し骨のある文章(説明文や物語文)を読む習慣をつけましょう。ただ読むだけでなく、「登場人物の気持ち」「筆者の主張」などを親子で話し合うと、内容を深く理解する練習になります。
- ・語彙力・漢字: 文章を読む土台となるのが語彙力です。言葉の意味を辞書で調べる習慣をつけましょう。漢字は、該当学年の配当漢字を「読み」「書き」ともに完璧にしておく必要があります。
算数の出題範囲と学習ポイント
算数は、思考のプロセスが問われる科目です。以下のポイントを意識して学習を進めましょう。
- ・計算力: 速く正確な計算力は、算数の全ての基本です。毎日少しずつでも計算練習を続け、ケアレスミスを減らしましょう。
- ・思考力(文章題・図形): SAPIXの算数の特徴は、答えだけでなく「なぜその答えになるのか」を考えさせる点にあります。すぐに答えを教えるのではなく、図を書いたり、親子で一緒に考えたりして、粘り強く問題に取り組む姿勢を育てることが大切です。
「対策なし」での受験は無謀か
「力試しに、対策なしで受けてみたい」と考える方もいるかもしれません。
もともと地頭が良く、学校の成績がトップクラスのお子様であれば、対策なしで合格する可能性はあります。しかし、多くの場合、SAPIX特有の問題形式に慣れていないと、本来の実力を発揮できずに終わってしまうリスクが高いでしょう。
本気で合格を目指すのであれば、「対策なし」での受験はおすすめできません。少なくとも、市販の問題集を1冊解いて問題形式に慣れておくだけでも、結果は大きく変わってきます。
ご家庭だけでの対策に不安を感じる場合は、SAPIX入室テスト対策を熟知したプロの力を借りるのも効果的です。学研の家庭教師なら、弱点補強から問題形式への慣れまで、合格に直結する指導が受けられます。
【SAPIX 入室テスト】申し込みから結果発表まで

ここでは、入室テストの申し込みから結果発表までの具体的な流れを解説します。
年間テストスケジュール一覧
SAPIXの入室テストは、年間を通じて複数回実施されます。特に、新学年に向けた以下の時期は、大規模なテストが行われます。
- ・7月
- ・11月
- ・1月
- ・3月
この他にも、比較的小規模なテストが随時実施されています。最新のテストスケジュールは、必ずSAPIXの公式サイトで確認してください。
(参考:SAPIX小学部 入室テストのご案内)
申し込み方法と受験料
- ・申し込み方法: SAPIX公式サイトのマイページからオンラインで申し込みます。事前にマイページの登録(無料)が必要です。
- ・受験料: 入室テストの受験料は無料です。気軽にチャレンジできるのもSAPIXのテストの魅力の一つです。
テスト当日の持ち物と時間割
- ・持ち物
- ・受験票(マイページから印刷)
- ・筆記用具(HB以上の鉛筆、消しゴム)
- ・腕時計(教室に時計がない場合があります)
- ・上履き(校舎による)
- ・時間割: テスト時間は学年によって異なります。
- ・新1年生:約40分
- ・新2・3年生:約60分(国語・算数 各30分)
- ・新4〜6年生:約80分(国語・算数 各40分) ※理科・社会が加わる場合はさらに長くなります。
正確な時間割は受験票に記載されていますので、必ず事前に確認しましょう。
結果発表はいつ?確認方法
テスト結果は、受験後3〜4日後にマイページ上で発表されるのが一般的です。
マイページでは、得点、平均点、偏差値、順位、そして合否が確認できます。合格した場合は、入室手続きの案内も表示されます。電話や郵送での結果通知はありません。
【SAPIX 入室テスト】Q&A

最後に入室テストに関するよくある質問にお答えします。
テストを受けるだけでも意味はある?
はい、大いに意味があります。
たとえ入塾をまだ決めていなくても、テストを受けることで以下のメリットがあります。
- ・お子様の現在の学力レベルが客観的にわかる
- ・SAPIXのテストの雰囲気や問題形式を体験できる
- ・中学受験に向けたモチベーションアップにつながる
受験は無料ですので、「力試し」として気軽に受けてみることをおすすめします。
αクラスに入るための基準は?
「αクラス」とは、SAPIXの最上位クラスのことです。αクラスに入るための明確な基準は公表されていませんが、一般的には入室テストで偏差値60以上、得点率で8割程度が一つの目安と言われています。
ただし、これもテストの平均点によって変動します。まずは合格を目指し、その上でできるだけ高得点を狙うという意識で臨むと良いでしょう。
入室テストと組分けテストの違い
この2つのテストは目的が異なります。
- ・入室テスト: SAPIXに入塾する資格があるかどうかを判定するためのテストです。
- ・組分けテスト: すでにSAPIXに在籍している生徒が、次の期間のクラスを決めるために受けるテストです。原則として、年に3回(1月、3月、7月)実施されます。
入室テストで良い成績を取ると、入塾後の最初の組分けテストが免除される場合があります。
組分けテストの仕組みや対策について、さらに詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてください。
まとめ
SAPIXの入室テストは、中学受験の第一歩となる重要なイベントです。最後に、この記事のポイントを振り返りましょう。
- ・合格率は非公表だが、目安は6〜7割。 準備不足だと「落ちる」可能性も十分にある。
- ・新4年生のテストは最重要。 思考力・記述力が問われるため、数ヶ月前からの計画的な準備が不可欠。
- ・過去問はない。 市販の「きらめき算数脳」などで問題形式に慣れるのが効果的。
- ・不合格でも再挑戦できる。 一度の結果で諦めず、弱点克服の機会と捉えよう。
「SAPIXのテストは難しい」という評判に、過度に不安を感じる必要はありません。テストで問われるのは、特別な才能ではなく、「正しく読み、深く考え、丁寧に表現する力」です。これは、ご家庭での日々の学習習慣の中で着実に育てていくことができます。
この記事を参考に、お子様に合った準備を今日から始めてみてください。お子様の挑戦が、実りあるものになることを心から応援しています。






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