「医学部を目指すとなると、やっぱり学費が心配…」そんな不安を抱える保護者の方も多いのではないでしょうか。特に私立医学部は、国公立に比べて学費が高額になることが知られています。
この記事では、私立医学部に通う場合の学費の目安、学費が安い大学、奨学金や支援制度などを詳しく解説します。お子さまの進路選びを安心して支えられるよう、ぜひ最後までご覧ください。
学費が安い私立医学部ランキング

私立医学部というと、学費が非常に高額なイメージが先行しがちですが、大学によってその金額には大きな差があります。私立医学部31校の6年間の学費総額を安い順にまとめました。
初期費用として見落とされがちな初年度納入金も併記しています。あくまでも目安とし、最新かつ正確な情報は各大学の公式サイトで必ずご確認ください。
私立医学部 学費ランキング(2025年度・学納金ベース)
順位 | 大学名 | 初年度納入金(目安) | 6年間総額(学納金) |
---|---|---|---|
1 | 国際医療福祉大学 | 4,500,000円 | 18,500,000円 |
2 | 順天堂大学 | 2,900,000円 | 20,800,000円 |
3 | 関西医科大学 | 2,900,000円 | 21,000,000円 |
4 | 日本医科大学 | 4,500,000円 | 22,000,000円 |
5 | 慶應義塾大学 | 3,903,350円 | 22,419,600円 |
6 | 東京慈恵会医科大学 | 3,500,000円 | 22,500,000円 |
7 | 自治医科大学 | 5,000,000円 | 23,000,000円 |
8 | 東邦大学 | 4,800,000円 | 25,800,000円 |
9 | 昭和医科大学 | 4,500,000円 | 27,000,000円 |
10 | 大阪医科薬科大学 | 5,985,000円 | 28,410,000円 |
11 | 東京医科大学 | 4,800,000円 | 29,400,000円 |
12 | 藤田医科大学 | 6,576,000円 | 30,406,000円(※2026年度から21,520,000円に改定予定) |
13 | 産業医科大学 | 5,915,000円 | 30,490,000円 |
14 | 日本大学 | 6,350,000円 | 33,100,000円 |
15 | 岩手医科大学 | 9,000,000円 | 34,000,000円 |
15 | 東北医科薬科大学 | 6,500,000円 | 34,000,000円 |
17 | 愛知医科大学 | 8,200,000円 | 34,200,000円 |
18 | 聖マリアンナ医科大学 | 6,970,000円 | 34,820,000円 |
19 | 東海大学 | 6,400,000円 | 35,000,000円 |
20 | 近畿大学 | 6,804,500円 | 35,827,000円 |
21 | 久留米大学 | 9,313,000円 | 36,378,000円 |
22 | 獨協医科大学 | 8,600,000円 | 36,600,000円 |
23 | 杏林大学 | 9,500,000円 | 37,000,000円 |
23 | 兵庫医科大学 | 8,500,000円 | 37,000,000円 |
23 | 埼玉医科大学 | 8,250,000円 | 37,000,000円 |
26 | 福岡大学 | 8,626,710円 | 37,738,260円 |
27 | 北里大学 | 9,000,000円 | 38,900,000円 |
28 | 帝京大学 | 9,362,000円 | 39,372,000円 |
29 | 金沢医科大学 | 11,000,000円 | 39,500,000円 |
30 | 川崎医科大学 | 10,500,000円 | 45,500,000円 |
31 | 東京女子医科大学 | 11,449,000円 | 46,214,000円 |
私立医学部の費用の内訳とは

私立医学部の学費と一口に言っても、実際には「授業料」以外にもさまざまな費用が含まれます。このセクションでは、私立医学部で必要となる費用の内訳を整理し、見落としやすい費用についても解説していきます。
私立医学部の学費の内訳
私立医学部の学費は、「入学金」「授業料」「施設設備費」「実験実習費」などで構成されています。
入学手続きでは、入学金を納めた後に「授業料」や「諸会費」など初年度分をまとめて支払うのが一般的です。この「入学金+1年分の学費前納」という仕組みが、初年度納入金が高額になる理由です。
支払いスケジュールは大学で異なり、年1回の一括納入だけでなく、前期・後期の2回払いや分割払いを選べる場合もあります。納入期限は短いこともあるため、手続き前に必ず公式情報を確認しましょう。
学費以外にかかる費用
私立医学部では、学費以外にも「教育充実費」や「後援会費」といった見落としがちな追加費用があります。中でも特に注意したいのが「寄付金」で、“任意”とされながらも事実上の慣例となっている場合があり、納入するかどうかは慎重な判断が求められます。
また、国家試験対策の「講座代」や「教材費」、パソコンや白衣といった「実習用具の購入費」なども別途必要です。これらの費用は大学によって異なり、募集要項に明記されていないこともあるため注意しましょう。予想外の出費で慌てないよう、公式サイトなどで事前に詳細を確認し、余裕を持った資金計画を立てておくことが大切です。
なぜ私立医学部の費用は高額なのか?

私立医学部の費用は、国公立に比べて高額になる傾向があります。なぜ大きな差が生まれるのでしょうか?その背景にある教育環境の違いや大学の運営構造について解説していきます。
教育環境の整備に多額のコストがかかるため
私立医学部は、解剖施設や臨床実習用のシミュレーション機器、最先端の医療機器など、他学部と比べても格段に高度な教育環境を維持・整備しています。これらの設備は一度導入すれば終わりではなく、医学や医療技術の進歩に合わせて定期的なアップデートやメンテナンスが必要です。
さらに、専門性の高い教員や技術スタッフの確保が不可欠であり、その人件費も大きなコストとなります。加えて、学生一人ひとりに対し、きめ細やかな指導を行うための少人数教育体制を維持するには多くの教員が必要となり、運営コストを押し上げる要因となります。
このように、質の高い医療教育を提供するための多額の投資が、学費に直接反映されているのです。
国からの補助金が少ないため
国公立大学は「運営費交付金」などの国からの補助金を受けており、これが学費を大幅に抑える大きな要因となっています。
一方、私立大学は国からの補助金が限定的であり、運営に必要な費用の多くを学生の学費で賄わなければなりません。私立医学部は、教育環境の整備や人件費、設備投資などにかかる莫大な費用を自らの資金力でまかなう必要があり、そのため学費が高く設定されています。この補助金の有無が、国公立と私立の学費格差を生む根本的な要因となっているのです。
私立医学部の費用を抑える方法

私立医学部は学費が高額ですが、大学独自の奨学金制度などを活用すれば、経済的負担を大きく軽減できます。このセクションでは、代表的な2つの方法を紹介します。
大学独自の奨学金・特待制度
私立医学部では、成績優秀者を対象にした授業料減免や給付型奨学金など、独自制度が充実しています。採用人数・金額・要件は年度で変動し、在学中の成績等による継続条件が設けられるのが一般的です。対象となる「学費」の範囲(入学金・授業料・施設設備費・教育充実費など)や、委託徴収金・寮費・教材費等が免除対象に含まれるかは大学ごとに異なるため、出願前に必ず最新の募集要項で確認しましょう
例えば順天堂大学では、一般選抜A方式の成績上位10名を対象に、1年次は入学金200万円のみ(授業料・施設設備費・教育充実費〔計90万円〕は免除)、2~6年次は各年100万円とする学費減免特待生制度を設けています。6年間の学費は合計700万円となり、1年次の寮費・諸会費・教材費は免除対象外、減免額は在学成績により変更される場合があります。
慶應義塾大学医学部では、一般入試の成績上位者10名程度に対し、第1~4学年の各年度200万円(総額800万円)を給付する「医学部人材育成特別事業奨学金」を実施しています。給付型のため返済義務はありませんが、学業成績が不振の場合は給付が打ち切られることがあります。
北里大学医学部の特待生制度では、一般入学試験合格者から選考し、第1種は学費全額(6年間で3,890万円)免除〔若干名〕、第2種は6年間で1,945万円免除〔若干名〕と定められています。ここでいう「学費」は入学金・授業料・施設設備費・教育充実費を指します。
学費支援型の大学(自治医科大学・産業医科大学など)
自治医科大学や産業医科大学などでは、卒業後の勤務条件を満たすことを前提に、学費の全額または一部が貸与され、義務年限を果たすことで返還が免除される制度が設けられています。
自治医科大学では、卒業後に指定された地域の医療機関で一定期間勤務することを条件に、入学金や授業料などが貸与され、義務年限を勤務することで返還が免除されます。産業医科大学も、卒業後に産業医や関連医療機関での勤務を条件に、同様の貸与・返還免除制度があります。ただし、義務を果たせなかった場合は貸与額の一括返済が求められるため、将来のキャリアプランを慎重に考えた上で選択する必要があります。
なお、医学部に進学する際に利用できる奨学金制度をより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
まとめ
これまで見てきたように、私立医学部の学費は大学によって大きく異なります。6年間の総額は1,850万円から4,500万円超まで幅があり、費用負担は決して小さくありません。
しかし、奨学金や支援制度を活用すれば、経済的負担を大きく軽減することができます。進学を検討する際は、各大学の学費や支援制度をよく比較し、十分な情報収集と準備を行いましょう。