神戸大学医学部は、西日本を代表する難関国公立大学医学部の一つです。合格を勝ち取るためには、入試の仕組みを正確に理解し、適切な戦略を立てることが不可欠です。
特に、共通テストと二次試験の配点バランスを把握することは、学習計画の根幹に関わる重要なポイントとなります。
この記事では、神戸大学医学部を目指す受験生とその保護者の方に向けて、最新の入試情報に基づき、以下の点を詳しく解説します。
- ・一般選抜(前期日程)の科目別配点と比率
- ・合格の目安となる偏差値や共通テストのボーダーライン
- ・二次試験の科目別傾向と対策
- ・学校推薦型選抜の概要
この記事を読めば、神戸大学医学部合格に向けた具体的な道筋が見えてくるはずです。ぜひ最後までご覧ください。
【神戸大学医学部】入試配点

神戸大学医学部医学科の一般選抜(前期日程)は、大学入学共通テストと個別学力検査(二次試験)の合計点で合否が決まります。まずは、最も重要な配点について詳しく見ていきましょう。
一般選抜(前期日程)の配点一覧
神戸大学医学部の前期日程では、共通テストが250点、二次試験が750点の合計1,000点満点で評価されます。
試験区分 | 配点 |
---|---|
大学入学共通テスト | 250点 |
個別学力検査(二次試験) | 750点 |
合計 | 1,000点 |
※面接は点数化されず、A・B・Cの3段階で総合評価の参考にされます。 (参考:神戸大学 令和7年度入学者選抜要項)
大学入学共通テストの科目別配点
共通テストは900点満点が、250点満点に圧縮されて計算されます。各科目の配点は以下の通りです。
教科 | 科目 | 素点 | 圧縮後配点 |
---|---|---|---|
国語 | 国語 | 200点 | 50点 |
地理歴史・公民 | 世界史B, 日本史B, 地理B, 「倫理、政治・経済」から1科目 | 100点 | 25点 |
数学 | 数学Ⅰ・A | 100点 | 50点 |
数学Ⅱ・B, 簿記, 情報から1科目 | 100点 | ||
理科 | 物理, 化学, 生物から2科目 | 200点 | 50点 |
外国語 | 英語(リーディング・リスニング) | 200点 | 75点 |
合計 | 900点 | 250点 |
特に注目すべきは外国語(英語)の配点です。他の科目が素点の4分の1に圧縮されるのに対し、英語は圧縮後の配点が高く設定されており、重要視されていることがわかります。
個別学力検査(二次試験)の科目別配点
二次試験は数学・理科・英語の3科目で、各250点の合計750点満点です。
教科 | 科目 | 配点 |
---|---|---|
数学 | 数学Ⅰ, Ⅱ, Ⅲ, A, B | 250点 |
理科 | 「物理基礎・物理」「化学基礎・化学」「生物基礎・生物」から2科目 | 250点 |
外国語 | コミュニケーション英語Ⅰ, Ⅱ, Ⅲ, 英語表現Ⅰ, Ⅱ | 250点 |
面接 | 個人面接 | 段階評価 |
合計 | 750点 |
理科は物理・化学・生物の中から2科目を選択して受験します。3科目とも均等な配点であり、どの科目も高いレベルでの完成度が求められます。
共通テストと二次試験の配点比率
神戸大学医学部の入試における配点比率は、共通テストが25%、二次試験が75%です。
- ・共通テスト: 250点 / 1000点 (25%)
- ・二次試験: 750点 / 1000点 (75%)
この比率から、神戸大学医学部の入試は圧倒的に二次試験を重視していることが分かります。もちろん、共通テストで高得点を取ることは重要ですが、最終的な合否は二次試験の出来が大きく左右します。
【神戸大学医学部】偏差値と難易度

ここでは、神戸大学医学部の難易度を客観的なデータから見ていきましょう。
神戸大学医学部医学科の最新偏差値
大手予備校のデータによると、神戸大学医学部医学科の偏差値は「67.5」が一つの目安となります。
これは国公立大学医学部の中でもトップクラスに位置し、最難関レベルであることがわかります。合格するためには、全科目で非常に高い学力が要求されます。 (参考:河合塾 医進塾)
共通テストのボーダー得点率の推移
共通テストのボーダー得点率とは、合格可能性が50%となるラインのことで、出願する際の重要な指標です。
年度 | ボーダー得点率(前期) |
---|---|
2024年度 | 86% |
2023年度 | 86% |
2022年度 | 85% |
例年、85%〜86%の高い得点率がボーダーラインとなっています。二次試験重視の配点とはいえ、共通テストでこの水準の得点を確保することが、二次試験で戦うための前提条件と言えるでしょう。 (参考:河合塾 医進塾)
神戸大学医学部医学科の合格最低点と合格者平均点
過去の入試結果を見ると、合格者のレベルがより具体的にわかります。
年度 | 合格最低点 | 合格者平均点 |
---|---|---|
2023年度 | 725.50 / 1000点 | 761.19 / 1000点 |
2022年度 | 720.50 / 1000点 | 756.81 / 1000点 |
2021年度 | 760.25 / 1000点 | 791.21 / 1000点 |
合格最低点はおおむね7割強で推移しています。共通テストでボーダーラインの得点を取った場合、二次試験では7割以上の得点が必要になる計算です。
入試倍率の推移(前期日程)
年度 | 志願者数 | 合格者数 | 実質倍率 |
---|---|---|---|
2024年度 | 271人 | 99人 | 2.7倍 |
2023年度 | 291人 | 99人 | 2.9倍 |
2022年度 | 301人 | 99人 | 3.0倍 |
倍率は例年3倍前後で安定しており、依然として高い人気を誇っています。
【神戸大学医学部】入試科目と試験時間

ここでは、受験に必要な科目と試験時間をまとめます。
共通テストの受験科目
- ・国語: 「国語」
- ・地理歴史・公民: 「世界史B」「日本史B」「地理B」「倫理、政治・経済」から1科目
- ・数学: 「数学Ⅰ・A」および「数学Ⅱ・B」「簿記・会計」「情報関係基礎」から1科目
- ・理科: 「物理」「化学」「生物」から2科目
- ・外国語: 「英語(リーディング、リスニング)」
二次試験の受験科目と試験時間
二次試験は2日間にわたって実施されます。
教科 | 試験時間 |
---|---|
数学 | 120分 |
理科(2科目) | 150分 |
英語 | 90分 |
面接 | 10分程度 |
理科は2科目を150分で解答するため、1科目あたり75分の時間配分となります。時間内に正確に解ききるための戦略が重要です。
【神戸大学医学部】二次試験の科目別出題傾向と対策

二次試験で高得点を取ることが合格の鍵です。ここでは、各科目の傾向と対策のポイントを解説します。
英語の傾向と対策
神戸大学医学部の英語は、長文読解が中心です。
- ・長文読解
- →医療系や科学系のテーマを含む、やや難易度の高い長文が出題されます。精読力と速読力の両方が求められます。
- ・和文英訳・自由英作文
- →日本語の文章を英語に訳す問題や、与えられたテーマについて自分の意見を記述する自由英作文が出題されます。高度な語彙力と表現力が不可欠です。
- ・対策のポイント
- →日頃から質の高い英文に多く触れ、語彙力を強化しましょう。特に医療・科学系の単語は重点的に覚える必要があります。
- →過去問演習を通じて、時間配分の感覚を掴むことが重要です。
- →英作文は、信頼できる先生に添削してもらい、表現の幅を広げましょう。
数学の傾向と対策
数学は数Ⅲからの出題が中心で、計算力と論理的思考力が問われます。
- ・頻出分野
- →微分・積分、複素数平面、極限、確率などが頻出です。これらの分野は特に重点的な対策が必要です。
- ・証明問題
- →論理の飛躍なく、採点者に伝わる答案を作成する力が求められます。過程を丁寧に記述する練習をしましょう。
- ・対策のポイント
- →まずは標準的な問題集を完璧に仕上げ、基礎を固めましょう。
- →その上で、医学部レベルのハイレベルな問題集や過去問に取り組み、応用力を養います。
- →計算ミスが命取りになるため、普段から検算する習慣をつけましょう。
理科(物理・化学・生物)の傾向と対策
理科は2科目選択です。どの科目も標準からやや難レベルの問題が出題されます。
物理
- ・力学と電磁気が頻出ですが、波動や熱力学からも満遍なく出題されます。苦手分野を作らないことが大切です。現象の根本的な理解を問う問題が多いため、公式の丸暗記だけでは対応できません。
化学
- ・理論化学、無機化学、有機化学の全範囲から出題されます。特に、化学平衡や反応速度などの計算問題と、有機化合物の構造決定は頻出です。知識の正確性と計算力が求められます。
生物
- ・遺伝情報、体内環境、生態系など幅広い分野から出題されます。実験考察問題が多く、読解力と論理的思考力が試されます。教科書レベルの知識を完璧にした上で、図やグラフを正確に読み取る練習を重ねましょう。
面接の形式と評価ポイント
面接は点数化されませんが、合否判定の重要な資料となります。
- ・形式
- →面接官2〜3人に対し受験生1人の個人面接で、時間は10分程度です。
- ・評価ポイント
- →医師としての適性や倫理観、コミュニケーション能力などが評価されます。
- →志望理由書の内容に基づいた質問が多いため、自分が書いた内容をしっかり説明できるように準備しておくことが重要です。
- →よく聞かれる質問としては、以下のようなものがあります。
- …医師の志望理由
- …神戸大学を志望した理由
- …高校生活で頑張ったこと
- …長所と短所
- …最近気になった医療ニュース
【神戸大学医学部】学校推薦型選抜の配点とボーダー

神戸大学医学部では、一般選抜とは別に学校推薦型選抜も実施しています。
推薦入試の出願資格と定員
- ・定員: 25名(一般枠23名、地域特別枠2名)
- ・出願資格:
- →現役生のみ
- →全体の学習成績の状況が4.3以上
- →合格した場合に入学を確約できる者
選抜方法と評価項目
選抜は、提出書類、小論文、面接、そして大学入学共通テストの成績を総合して行われます。
- ・第1次選考: 提出書類(調査書、志望理由書など)と小論文で評価
- ・第2次選考: 第1次選考合格者に対し、面接と共通テストの成績で最終評価
共通テストの成績は、一般選抜と同様に250点満点に換算されます。小論文と面接の配点は公表されていませんが、医師としての適性を多角的に評価する重要な要素です。
医師としての資質を問われる小論文は、多くの受験生にとって差がつく要素です。書き方のコツや例題解説をまとめた記事もチェックしておくと安心です。
面接では学力以外の側面が評価対象となります。実際にどんな質問がされるのか、どのように答えるべきかを知りたい方はこちらをどうぞ。
推薦入試のボーダーラインと倍率
推薦入試は非常に狭き門です。
- ・ボーダーライン: 明確なボーダーは公表されていませんが、一般選抜と同様に共通テストで85%以上の高得点が求められると予想されます。
- ・倍率: 例年3〜4倍程度で推移しており、高いレベルでの競争となります。
推薦入試では、志望理由書の完成度が合否を左右します。書き方や例文を知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
【神戸大学医学部】入試のQ&A

最後によくある質問にお答えします。
神戸大学医学部では後期日程は実施される?
いいえ、神戸大学医学部医学科では後期日程は実施されていません。前期日程が唯一のチャンスとなります。
神戸大学医学部では共通テストでの足切り(段階選抜)はある?
はい、実施される可能性があります。募集人員(前期日程97名)に対し、志願者数が約3倍(約290名)を超えた場合、共通テストの成績により第1段階選抜(足切り)が実施されることがあります。
神戸大学医学部の再受験生や多浪生は不利になる?
入試要項には年齢や経歴による有利・不利は明記されていません。学力試験の得点が最も重要であることに変わりはありません。ただし、面接では経歴について質問される可能性があるため、なぜ再受験してまで医師を目指すのか、説得力のある説明ができるように準備しておくことが大切です。
神戸大学医学部への道筋を見据えた上で、志望校の幅を広げたい方は、私立医学部の偏差値ランキングもぜひ参考にしてみてください。
まとめ
今回は、神戸大学医学部の配点や偏差値、入試科目について詳しく解説しました。
- ・配点: 共通テスト250点、二次試験750点の合計1000点満点。二次試験の比重が75%と非常に高い。
- ・難易度: 偏差値は67.5、共通テストのボーダーは86%が目安。国内最難関レベル。
- ・二次試験対策: 英語・数学・理科の3科目。どの科目も高いレベルが求められ、特に記述力・論理的思考力が重要。
- ・合格戦略: 共通テストで高得点を確保しつつ、早期から二次試験対策に重点を置くことが合格の鍵。
神戸大学医学部への道は決して平坦ではありませんが、正しい情報を基に戦略を立て、努力を続ければ合格の可能性は十分にあります。この記事が、あなたの夢を叶えるための一助となれば幸いです。