「香川大学の医学部って、実際のところどのくらい難しいの?」 「他の国公立大学と比べて、合格しやすいって本当?」
香川大学医学部を志望校の一つとして考えている受験生や保護者の方にとって、その正確な難易度は最も気になる情報ではないでしょうか。
この記事では、香川大学医学部の偏差値や共通テストのボーダーライン、入試科目ごとの対策法まで、あなたが知りたい情報を徹底的に解説します。
全国の医学部と比較した立ち位置や、再受験生への寛容度、大学の特色といった深い情報まで網羅しています。この記事を読めば、香川大学医学部に合格するための具体的な道筋が見えてくるはずです。
【香川大学医学部】偏差値と難易度

まずは、受験生が最も気になる偏差値と、全国の医学部の中での難易度の位置づけを見ていきましょう。
最新の偏差値は65.0(医学科)
大手予備校のデータを参考にすると、2024年度入試における香川大学医学部医学科の偏差値は65.0です。
これは、国公立大学医学部の中では標準的な難易度に位置します。しかし、大学全体の学部で見れば最難関レベルであり、合格するためには非常に高い学力が求められることに変わりはありません。
偏差値はあくまで一つの目安ですが、65.0という数値を目標に、自分の現在の学力と照らし合わせて学習計画を立てることが重要です。(参考:河合塾 医進塾)
全国国公立医学部内での偏差値ランキング
全国に約50校ある国公立大学医学部の中で、香川大学はどのあたりに位置するのでしょうか。偏差値が近い大学と比較してみましょう。
偏差値 | 大学名 |
---|---|
67.5 | 筑波大学、神戸大学、広島大学、横浜市立大学など |
65.0 | 香川大学、旭川医科大学、秋田大学、山形大学、富山大学、福井大学、鳥取大学、島根大学、徳島大学、愛媛大学、高知大学、佐賀大学、大分大学、宮崎大学、鹿児島大学、琉球大学など |
62.5 | – |
このように、香川大学医学部は多くの地方国公立大学医学部と同じ偏差値帯にグループ分けされています。東京大学理科三類や京都大学医学部といった最難関グループとは差がありますが、決して簡単なレベルではないことが分かります。
全国の最新偏差値データをより詳しく確認したい方は、『最新医学部偏差値ランキング(2025年版)』をご覧ください。
臨床心理学科・看護学科の偏差値
香川大学医学部には、医学科以外にも以下の学科が設置されています。
- ・臨床心理学科: 偏差値 60.0
- ・看護学科: 偏差値 50.0
特に臨床心理学科は、国公立大学でこの専門分野を学べる数少ない学科であり、高い人気と難易度を誇ります。
「入りやすい」は本当か?難易度を考察
「香川大学医学部は、国公立医学部の中では比較的入りやすい」という話を聞いたことがあるかもしれません。
これは、先ほどの偏差値ランキングで見たように、最上位層の大学と比較すると偏差値がやや穏やかであることから言われているようです。
しかし、この言葉を鵜呑みにするのは非常に危険です。 医学部全体のレベルが非常に高いため、「入りやすい」と言っても、それはあくまで医学部という最難関カテゴリの中での比較に過ぎません。偏差値65.0は、他の学部であれば旧帝国大学にも合格できるレベルです。
合格を勝ち取るためには、共通テストで高い得点率を確保し、二次試験で着実に得点を重ねるための徹底した対策が不可欠です。
【香川大学医学部】合格の目安となるボーダーラインと最低点

偏差値と合わせて、合格の可能性を判断するために重要なのが「共通テストのボーダーライン」や「合格最低点」です。具体的な数値目標を立てるために、過去のデータを詳しく見ていきましょう。
共通テストのボーダー得点率
香川大学医学部に合格するためには、最初の関門である共通テストで高得点を取ることが極めて重要です。
2024年度入試における共通テストのボーダー得点率は、約80%でした。
これは、900点満点で720点が目標となる計算です。まずはこのボーダーラインを安定して超えられるように、苦手科目をなくし、得意科目を伸ばす戦略が求められます。
共通テストの足切り(第一段階選抜)の有無
香川大学医学部の一般選抜(前期日程)では、第一段階選抜(いわゆる足切り)が実施される可能性があります。
募集要項によると、志願者数が募集人員の約3倍を超えた場合に、共通テストの成績によって第一段階選抜が行われます。
近年は倍率が3倍を超えない年が多く、足切りは実施されていません。しかし、年度によっては志願者が増える可能性もあるため、油断は禁物です。いずれにせよ、前述のボーダー得点率である80%を目標に勉強を進めていれば、足切りを過度に心配する必要はないでしょう。
二次試験の合格最低点と平均点の推移
最終的な合否は、共通テストと二次試験の合計点で決まります。過去の合格最低点を知ることで、二次試験でどれくらいの点数を目指すべきかが見えてきます。
【一般選抜(前期)合格者成績(1300点満点)】
年度 | 合格最低点 | 合格者平均点 |
---|---|---|
2023年度 | 938.80点 (約72.2%) | 978.84点 (約75.3%) |
2022年度 | 930.80点 (約71.6%) | 971.48点 (約74.7%) |
2021年度 | 990.20点 (約76.2%) | 1026.08点 (約78.9%) |
年によって多少の変動はありますが、合格するためには合計で7割強〜7割5分程度の得点が必要になることが分かります。共通テストの自己採点結果をもとに、二次試験での目標点を具体的に設定しましょう。
入試倍率の推移(一般選抜・推薦選抜)
入試倍率は、その年の人気度を測る指標になります。
【一般選抜(前期)倍率推移】
年度 | 志願者数 | 受験者数 | 合格者数 | 実質倍率 |
---|---|---|---|---|
2023年度 | 211 | 189 | 77 | 2.5倍 |
2022年度 | 231 | 203 | 77 | 2.6倍 |
2021年度 | 271 | 234 | 77 | 3.0倍 |
【学校推薦型選抜Ⅱ 倍率推移】
年度 | 志願者数 | 受験者数 | 合格者数 | 実質倍率 |
---|---|---|---|---|
2023年度 | 49 | 49 | 20 | 2.5倍 |
2022年度 | 51 | 51 | 20 | 2.6倍 |
2021年度 | 49 | 49 | 20 | 2.5倍 |
一般選抜、推薦選抜ともに、実質倍率は2.5倍前後で安定して推移しています。これは国公立医学部としては平均的な倍率です。
【香川大学医学部】入試科目と配点

どの科目に重点を置いて勉強すべきかを知るために、入試科目と配点を正確に把握しておきましょう。
一般選抜(前期日程)の科目と配点
香川大学医学部の一般選抜は、共通テストと二次試験の合計1300点満点で評価されます。
【共通テスト:900点満点】
教科 | 科目 | 配点 |
---|---|---|
国語 | 国語 | 200 |
地歴・公民 | 世B,日B,地理B,倫政から1 | 100 |
数学 | 数ⅠA, 数ⅡB | 200 |
理科 | 物,化,生から2 | 200 |
外国語 | 英語(リーディング・リスニング) | 200 |
【二次試験:400点満点】
教科 | 科目 | 配点 | 試験時間 |
---|---|---|---|
数学 | 数Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ,A,B | 100 | 100分 |
理科 | 「物基・物」「化基・化」「生基・生」から2 | 150 | 2科目で150分 |
外国語 | コミュ英Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ,英語表現Ⅰ,Ⅱ | 100 | 80分 |
面接 | 面接 | 50 | – |
注目すべきは、共通テストの配点(900点)が二次試験(400点)よりもかなり高いことです。二次試験の配点比率は約30.8%であり、これは国公立医学部の中でも「共通テスト重視型」と言えます。
この配点から、まずは共通テストでいかに高得点を確保できるかが合否の鍵を握ることが分かります。
学校推薦型選抜Ⅱの試験内容
現役生のみが出願できる学校推薦型選抜Ⅱは、以下の内容で選考が行われます。
- ・対象: 現役生のみ
- ・定員: 20名(うち地域枠15名)
- ・選考方法:
- →大学入学共通テスト(5教科7科目)
- →小論文
- →面接
- →調査書
共通テストの成績が重視される点は一般選抜と同様ですが、それに加えて小論文と面接で、医師としての適性や地域医療への貢献意欲などが総合的に評価されます。
【香川大学医学部】科目別の出題傾向と具体的な対策法

ここからは、二次試験の科目別に、具体的な出題傾向と対策法を解説します。過去問を分析し、効率的な学習を進めましょう。
数学の傾向と対策
- ・試験時間: 100分
- ・問題構成: 大問4題
頻出分野は「数学Ⅲの微分・積分」で、例年必ずと言っていいほど出題されています。次いで「複素数平面」「確率」「数列」などもよく見られます。
問題の難易度自体は、医学部入試としては標準的なレベルのものが中心です。しかし、100分で大問4題を解き切るには、計算力と処理速度が求められます。典型的な問題で計算ミスをしたり、時間をかけすぎたりすると、最後まで解ききれなくなる可能性があります。
数学対策をさらに強化したい方向けに、『医学部受験数学の勉強法』という記事もあります。こちらも併せてご覧ください。
対策法
- ・標準問題の徹底反復: 教科書レベルの基礎を固めた上で、標準的な問題集(『青チャート』や『Focus Gold』など)を完璧に解けるようにしましょう。
- ・計算力の強化: 日頃から複雑な計算を素早く正確に行う練習を積んでください。特に微積分の計算は、量をこなすことが重要です。
- ・過去問演習: 最低でも5年分、できれば10年分の過去問を時間を計って解き、時間配分の感覚を掴みましょう。
英語の傾向と対策
- ・試験時間: 80分
- ・問題構成: 長文読解2題、和文英訳1題
長文読解は、医療や科学に関するテーマが出題されることもありますが、社会問題や文化など幅広いテーマから出題されます。文章量は標準的ですが、設問は日本語での説明を求めるものが多く、読解力だけでなく記述力も試されます。
和文英訳は、やや長めの日本語を自然な英語に訳す能力が求められます。構文や語彙の知識を正確に運用できるかがポイントです。
対策法
- ・精読と速読のバランス: 普段から様々なテーマの長文に触れ、文の構造を正確に把握する精読と、大意を素早く掴む速読の両方を練習しましょう。
- ・記述問題の練習: 過去問や類似問題を使って、本文の内容を自分の言葉で簡潔にまとめる練習を重ねてください。
- ・英作文の添削: 和文英訳は自己採点が難しいため、学校や塾の先生に添削してもらい、より自然で正確な表現を身につけることが合格への近道です。
英語の長文読解や自由英作文対策は、こちらの『医学部受験英語の勉強法』でも詳しく解説しています。
理科(物理・化学・生物)の傾向と対策
- ・試験時間: 2科目で150分
- ・選択方法: 物理・化学・生物から2科目を選択
1科目あたり75分という時間配分になります。時間的には比較的余裕がありますが、どちらの科目も標準〜やや応用レベルの問題が出題されるため、油断はできません。
物理の傾向と対策
力学と電磁気が頻出分野です。原子分野からも出題されることがあります。問題の難易度は標準的で、典型的な設定の問題が多いため、高得点を目指したい科目です。教科書傍用問題集や標準的な問題集を繰り返し解き、解法パターンを身につけることが重要です。
化学の傾向と対策
理論化学と有機化学が中心で、無機化学からも出題されます。知識を問う問題と、思考力・計算力を要する問題がバランス良く出題されるのが特徴です。特に、有機化学の構造決定問題は頻出なので、重点的に対策しておきましょう。標準的な問題集を完璧にした上で、少し応用的な問題にも取り組むと良いでしょう。
生物の傾向と対策
遺伝情報、代謝、体内環境、生態など、幅広い分野から出題されます。知識問題だけでなく、実験考察問題やグラフの読み取り問題も多く、思考力や分析力が問われます。教科書の内容を隅々まで正確に暗記することはもちろん、図説資料集などを活用して視覚的に理解を深めることが効果的です。
【香川大学医学部】面接・小論文の形式と過去問

学力試験だけでなく、医師としての適性を評価する面接や小論文も重要な選考要素です。
面接の形式と過去の質問例
- ・形式: 個人面接
- ・時間: 10分程度
- ・面接官: 3名
配点は50点と高くはありませんが、受け答えの内容によっては大きく差がつく可能性があります。和やかな雰囲気で行われることが多いようですが、しっかりと準備して臨みましょう。
【過去の質問例】
- ・なぜ医師になりたいのですか?
- ・数ある大学の中で、なぜ香川大学を選んだのですか?
- ・香川県の地域医療について、どのようなイメージを持っていますか?
- ・高校生活で最も力を入れたことは何ですか?
- ・あなたの長所と短所を教えてください。
- ・最近気になった医療ニュースは何ですか?
- ・ストレス解消法は何ですか?
志望理由(特に「なぜ香川か」)と、地域医療への関心は頻出の質問です。大学の特色や香川県の医療事情を事前に調べておき、自分の言葉で語れるように準備しておくことが不可欠です。
小論文のテーマと対策
小論文は、学校推薦型選抜Ⅱで課されます。
- ・形式: 課題文を読んだ上で、設問に答える形式
- ・時間: 60分
- ・字数: 400字〜600字程度
過去には、地域医療、再生医療、医師の働き方改革といった、現代の医療が抱える課題に関するテーマが出題されています。
対策法
- ・医療・社会問題への関心: 日頃から新聞やニュースに目を通し、医療関連のトピックに関心を持っておきましょう。
- ・要約と意見論述の練習: 課題文の要点を正確に掴み、それに対して自分の意見を論理的に述べる練習を繰り返しましょう。
- ・添削指導: 書いた小論文は必ず第三者(学校の先生など)に読んでもらい、客観的なフィードバックを受けることが上達の鍵です。
より具体的な面接対策は『医学部面接の頻出質問と対策法』、小論文の傾向は『医学部小論文の出題傾向と攻略法』で確認できます。
【香川大学医学部】特徴と評判

最後に入試情報だけでなく、大学そのものの特徴や学生からの評判についても見ていきましょう。入学後のミスマッチを防ぐためにも重要な情報です。
再受験や浪人生への寛容度と合格実績
「香川大学医学部は再受験生や多浪生に寛容」という評判はよく聞かれます。
年齢や経歴で不利になることは少なく、面接でも経歴について深掘りされるよりは、医師としての適性や意欲が重視される傾向にあります。実際に、様々な年齢層の学生が在籍しており、多様性のある環境です。
学力さえ基準に達していれば、年齢を理由に不合格になる可能性は低いと考えて良いでしょう。再受験を考えている方にとっては、目標にしやすい大学の一つと言えます。
大学の特色・強み(カリキュラム・研究)
香川大学医学部には、以下のような特色があります。
- ・地域に根差した医療人育成: 香川県唯一の医学部として、地域医療を担う医師の育成に力を入れています。1年次から地域に出て医療現場を体験するプログラムなど、早期から地域医療への意識を高める機会が豊富です。
- ・希少糖の研究: 香川大学は世界トップレベルの希少糖研究で知られており、医学部でもその知見を活かした研究が行われています。生命科学の最先端に触れることができます。
- ・充実したシミュレーション教育: 高度なシミュレーターを備えた「医学教育シミュレーションセンター」があり、実践的な臨床スキルを安全な環境でトレーニングできます。
キャンパスの立地と周辺環境
医学部のキャンパスは、高松市中心部から少し離れた木田郡三木町にあります。
最寄り駅は高松琴平電気鉄道(ことでん)長尾線の「高田駅」ですが、駅からキャンパスまではバスまたは自転車で10分ほどかかります。
正直、交通の便が良いとは言えませんが、その分、静かで落ち着いた環境で勉強に集中できるというメリットもあります。キャンパス周辺にはスーパーやコンビニ、飲食店など生活に必要な施設は揃っており、多くの学生が大学の近くで一人暮らしをしています。
学費と利用できる奨学金制度
国公立大学なので、学費は標準的な金額です。
- ・入学金: 282,000円
- ・授業料(年額): 535,800円
経済的な支援として、日本学生支援機構の奨学金はもちろん、香川大学独自の奨学金制度や、地方公共団体・民間団体による奨学金も利用できます。特に、地域枠で入学した学生向けの奨学金制度は手厚いものが多いので、該当する方はぜひ確認してみてください。
学費の負担を軽減する具体的な制度については、『医学部で利用できる奨学金制度まとめ』をご覧ください。
学生の評判・口コミ(知恵袋・掲示板より)
実際に通っている学生からは、どのような声が聞かれるのでしょうか。
- ・良い評判
- →「学生数が少ない分、アットホームで先生や先輩との距離が近い」
- →「真面目で穏やかな学生が多い印象」
- →「地域医療について深く学べる機会が多い」
- ・気になる評判
- →「キャンパスの立地が不便。車がないと生活しにくい」
- →「都会のような刺激や遊ぶ場所は少ない」
人間関係が密で、落ち着いた環境でじっくり学びたい人には非常に合った大学と言えそうです。一方で、都会的なキャンパスライフをイメージしていると、少しギャップを感じるかもしれません。
全国81大学の医学部を偏差値・歴史・研究力の観点から比較した『医学部序列完全版』も参考にしてみてください。
まとめ
今回は、香川大学医学部の難易度や入試対策について詳しく解説しました。
最後に、この記事の要点をまとめます。
- ・偏差値は65.0で、国公立医学部の中では標準的な難易度。
- ・「入りやすい」という噂はあるが、決して簡単ではなく、全学部で見れば最難関レベル。
- ・合格の鍵は、共通テストで80%以上の高得点を取ること。配点比率が高く、ここでリードすることが非常に重要。
- ・二次試験は標準的な問題が中心。ミスなく確実に解き切る計算力と処理速度が求められる。
- ・再受験生や多浪生にも寛容で、学力本位の選抜が期待できる。
香川大学医学部は、地域医療に貢献したいという強い意志を持ち、落ち着いた環境で真摯に学びたい受験生にとって、非常に魅力的な大学です。
この記事で得た情報を元に、具体的な学習計画を立て、合格という目標に向かって着実に努力を重ねていってください。応援しています!
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