「高知大学の医学部って、どのくらい難しいんだろう?」 「自分の成績で合格できるかな…?」 「合格するためには、どんな対策をすればいいの?」
この記事は、そんな疑問や不安を抱えるあなたのために書きました。
高知大学医学部は、四国地方における重要な医療拠点であり、地域医療に貢献したいと考える受験生にとって非常に魅力的な大学です。しかし、その分、合格への道のりは決して平坦ではありません。
この記事では、高知大学医学部の難易度を客観的なデータに基づいて徹底的に分析します。最新の偏差値や共通テストのボーダーライン、入試科目ごとの詳しい対策法まで、合格に必要な情報をすべて詰め込みました。
【高知大学医学部】偏差値と難易度

まずは、受験生が最も気になる偏差値と、全国的な難易度のレベルを見ていきましょう。
高知大学医学部の偏差値は65.0程度で、全国の国公立大学医学部の中では標準的な難易度に位置します。しかし、大学内では最も難易度の高い学部であることは間違いありません。
主要予備校の最新偏差値
大学の偏差値は、予備校によって算出方法が異なるため、複数のデータを比較することが重要です。
予備校 | 偏差値 |
---|---|
河合塾 | 65.0 |
駿台 | 65 |
東進 | 67 |
このように、主要な予備校では偏差値65.0〜67.0がひとつの目安となっています。医学部全体で見ると標準的ですが、他の学部とは一線を画す高いレベルであることがわかります。
全国国公立医学部内でのランキング・レベル
全国に51校ある国公立大学医学部の中で、高知大学医学部はどのような位置づけなのでしょうか。
偏差値65.0という数値は、国公立医学部の中では中堅グループに属します。旧帝大や都市部の難関医科大学(偏差値70.0以上)と比べるとやや入りやすいと見られることもありますが、それでも全学部を含めた大学受験全体で見れば最難関レベルです。
特に、四国や中国地方の受験生にとっては有力な選択肢となるため、地域内での競争は激しくなります。同じ四国内の徳島大学や愛媛大学、香川大学の医学部と比較検討する受験生も多いです。
他学部(農学部など)との偏差値比較
高知大学内での医学部の難易度の高さを、他の学部と比較してみましょう。
学部 | 偏差値(河合塾) |
---|---|
医学部 | 65.0 |
農林海洋科学部 | 50.0~52.5 |
理工学部 | 47.5~50.0 |
人文社会科学部 | 50.0 |
教育学部 | 47.5~50.0 |
表からも分かる通り、医学部の偏差値は他学部を大きく引き離して突出しています。特に、同じ理系で比較されることのある農林海洋科学部(農学部系)の偏差値が50.0前後であることからも、医学部への合格がいかに難しいかがうかがえます。
【高知大学医学部】入試データで見る合格ライン

偏差値と合わせて、実際の入試結果のデータから合格の具体的なラインを探っていきましょう。
合格のためには、共通テストで8割近い得点を目指し、二次試験でライバルと差をつけることが重要になります。
共通テストのボーダー得点率と足切り
共通テストのボーダー得点率とは、その点数を取った受験生の合格可能性が50%になるラインのことです。
年度 | ボーダー得点率(前期) |
---|---|
2024年度 | 79% |
2023年度 | 78% |
2022年度 | 78% |
高知大学医学部(前期日程)に合格するためには、共通テストで最低でも78%〜80%の得点が目標となります。
また、高知大学医学部の前期日程では、志願者数が募集人員の約3倍を超えた場合、共通テストの成績によって第一段階選抜(いわゆる足切り)が実施されます。近年は足切りが実施されない年もありますが、油断は禁物です。
二次試験の合格最低点の推移
最終的な合否は、共通テストと二次試験の合計点で決まります。過去の合格最低点を知ることで、二次試験でどれくらいの点数が必要かが見えてきます。
年度 | 募集人員(前期) | 合格者数 | 合格最低点(1850点満点) |
---|---|---|---|
2023年度 | 55名 | 55名 | 1288.60点 (約69.7%) |
2022年度 | 55名 | 55名 | 1254.20点 (約67.8%) |
2021年度 | 55名 | 55名 | 1342.40点 (約72.6%) |
年によって変動はありますが、総点で7割前後が合格ラインの目安と言えるでしょう。共通テストで思うように得点できなかった場合でも、二次試験で高得点を取れば逆転合格の可能性は十分にあります。
入試方式別の志願倍率・実質倍率
高知大学医学部には、一般選抜の他に推薦入試など複数の入試方式があります。それぞれの倍率を見てみましょう。
【一般選抜 前期日程】
年度 | 志願者数 | 受験者数 | 合格者数 | 実質倍率 |
---|---|---|---|---|
2023年度 | 241名 | 211名 | 55名 | 3.8倍 |
2022年度 | 261名 | 226名 | 55名 | 4.1倍 |
2021年度 | 218名 | 189名 | 55名 | 3.4倍 |
【学校推薦型選抜II】
年度 | 志願者数 | 受験者数 | 合格者数 | 実質倍率 |
---|---|---|---|---|
2023年度 | 61名 | 61名 | 22名 | 2.8倍 |
2022年度 | 62名 | 62名 | 22名 | 2.8倍 |
2021年度 | 59名 | 59名 | 22名 | 2.7倍 |
一般選抜前期日程の実質倍率は例年4倍前後で、安定した人気を保っています。推薦選抜は倍率が低く見えますが、出願できるのが現役生のみで、高校内の厳しい選考を通過した生徒だけが受験するため、数字以上にレベルの高い争いとなります。
【高知大学医学部】入試方式別の科目・配点

合格戦略を立てる上で、科目ごとの配点を正確に把握することは不可欠です。
高知大学医学部は共通テストと二次試験の配点比率が「900点:950点」とほぼ1:1であることが大きな特徴です。二次試験の比重が高いため、記述力や思考力を問う二次対策が合否の鍵を握ります。
一般選抜(前期日程)の受験科目と配点
【共通テスト:900点満点】
教科 | 科目 | 配点 |
---|---|---|
国語 | 国語 | 200 |
地歴公民 | 世B,日B,地理B,倫政から1 | 100 |
数学 | 数IA, 数IIB | 200 |
理科 | 物理,化学,生物から2 | 200 |
外国語 | 英語(リーディング:リスニング=4:1) | 200 |
【二次試験:950点満点】
教科 | 科目 | 配点 |
---|---|---|
数学 | 数I,II,III,A,B | 300 |
理科 | 「物理基礎・物理」「化学基礎・化学」「生物基礎・生物」から2 | 300 |
外国語 | コミュ英I,II,III, 英語表現I,II | 200 |
面接 | 面接 | 150 |
二次試験では数学と理科の配点がそれぞれ300点と非常に高く、この2教科でいかに得点できるかが重要です。また、面接にも150点という大きな配点が割り振られている点も特徴的です。
学校推薦型選抜の選抜方法と定員
現役生のみが出願できる入試方式です。
- ・定員:22名(うち高知県出身者枠12名)
- ・選抜方法: 共通テスト(5教科7科目)、小論文、面接の結果を総合的に評価して選抜します。二次試験のような学力試験は課されません。
- ・出願要件: 全体の学習成績の状況が4.3以上であることなど、厳しい要件が定められています。
総合型選抜(AO入試)の難易度と倍率
高知県の地域医療に貢献する強い意志を持つ学生を対象とした入試です。
- ・定員: 5名(緊急医師確保対策枠3名、地域医療推進枠2名)
- ・選抜方法: 第1次選考(書類審査)と第2次選考(プレゼンテーション、面接)で評価されます。共通テストは課されません。
- ・難易度: 募集人員が非常に少なく、明確な目的意識が求められるため、倍率は10倍を超えることもあり、極めて難易度の高い入試です。卒業後のキャリアパス(指定された医療機関での勤務)も定められています。
【高知大学医学部】二次試験の科目別出題傾向と対策

二次試験の配点が高い高知大学医学部では、科目別の傾向を掴んだ上で、効率的な対策を進めることが合格への近道です。
全体的に標準レベルの問題が中心ですが、思考力や表現力を問う問題が多く、確実な得点力が求められます。
数学の傾向と具体的な対策法
大問4題構成で、試験時間は120分です。
- ・頻出分野: 微分法・積分法(数III)が最重要頻出分野です。その他、複素数平面、確率、数列、ベクトルなどもよく出題されます。
- ・難易度: 標準的な問題が中心ですが、一部に計算が複雑な問題や、やや高度な思考力を要する問題も含まれます。合格のためには、標準問題を確実に完答し、応用問題で部分点を稼ぐ戦略が有効です。
- ・対策法: まずは、教科書レベルの定義や定理を完璧に理解しましょう。その上で、網羅系の問題集(「青チャート」や「Focus Gold」など)の標準問題を繰り返し解き、解法パターンを身につけることが重要です。過去問演習を通じて、時間配分や記述答案の作成能力を磨きましょう。
理科(物理・化学・生物)の傾向と対策法
物理・化学・生物から2科目を選択し、150分で解答します。
物理
力学と電磁気が頻出です。原子分野も出題されることがあります。難易度は標準的ですが、問題数が多く、計算量も多いため、時間との戦いになります。典型的な問題を素早く正確に解く練習が欠かせません。
化学
理論・無機・有機の各分野からバランス良く出題されます。知識を問う問題と計算問題が混在しており、特に理論化学の計算問題が合否を分けます。構造決定問題や高分子化合物も頻出なので、重点的に対策しましょう。
生物
遺伝情報や体内環境、生態系など幅広い分野から出題されます。知識問題に加えて、実験考察問題や論述問題が特徴的です。単なる暗記だけでなく、実験の目的や結果を正確に読み取り、論理的に説明する力が求められます。
英語の傾向と対策法
試験時間は90分で、長文読解が中心です。
- ・出題形式: 内容説明、和訳、空所補充、同意表現など、読解力を総合的に問う問題が出題されます。近年は自由英作文も出題される傾向にあります。
- ・テーマ: 医療や科学に関するテーマの長文が出題されることもありますが、幅広い社会的なテーマに対応できる読解力が必要です。
- ・対策法: まずは標準レベルの単語・文法・構文を完璧に固めましょう。その上で、様々なテーマの長文を読み、精読する練習を重ねることが重要です。過去問を解いて時間配分を体得し、記述問題や自由英作文の答案作成に慣れておくことが高得点の鍵です。
面接・小論文の形式と過去の質問内容
面接は二次試験で150点という高い配点を占めており、非常に重要です。
- ・形式: 面接官3名による個人面接で、時間は約15分です。
- ・過去の質問内容: 医師や研究医の志望理由、高知大学を選んだ理由といった基本的な質問に加え、以下のような内容が問われることが多いです。
- →高知県の地域医療についてどう思うか?
- →自分の長所・短所は?
- →最近気になった医療ニュースは?
- →チーム医療で大切なことは何か?
- →ストレス解消法は?
- ・対策法: なぜ医師になりたいのか、なぜ高知大学で学びたいのかを自分の言葉で深く掘り下げておくことが最も重要です。高知県の医療が抱える課題(医師不足、高齢化など)について調べておくと、より説得力のある回答ができます。高校の先生や塾の講師に協力してもらい、模擬面接を繰り返し行いましょう。
なお、小論文は学校推薦型選抜で課されます。医療や社会に関するテーマについて、自分の考えを論理的に記述する力が求められます。
実際の質問例や小論文テーマを詳しく解説した記事もあります。より実践的な準備を進めたい方は、あわせてご覧ください。
【高知大学医学部】特徴と魅力

厳しい受験勉強を乗り越えるためには、大学生活への期待やモチベーションも大切です。高知大学医学部ならではの魅力をご紹介します。
地域に根ざした実践的な教育プログラムと、学生一人ひとりに向き合うアットホームな校風が大きな特徴です。
教育カリキュラムの強みと特色
高知大学医学部では、早期から医療に触れ、地域医療への理解を深める独自のカリキュラムが組まれています。
- ・早期体験実習: 1年次から附属病院や地域の医療施設で実習を行い、医療現場の実際を肌で感じることができます。
- ・テュートリアル教育: 少人数のグループで課題について主体的に学び、討論するPBL(Problem-Based Learning)方式の授業を導入しており、問題解決能力やコミュニケーション能力を養います。
- ・充実した地域医療教育: 高知県内のへき地や離島での実習を通して、地域が抱える医療課題を学び、地域医療を担う医師としての自覚と使命感を育みます。
岡豊キャンパスの立地と周辺環境
医学部の学生は、高知市に隣接する南国市の「岡豊(おこう)キャンパス」で6年間を過ごします。
- ・立地: 附属病院に隣接しており、臨床実習に最適な環境です。高知龍馬空港から車で約15分、JR高知駅からはバスで約30分と、交通の便も比較的良好です。
- ・周辺環境: 自然に囲まれた落ち着いた環境で、学業に集中できます。キャンパス周辺には学生向けのアパートも多く、一人暮らしをしやすい環境が整っています。
卒業後の進路と医師国家試験合格率
卒業後のキャリアパスや、医師になるための最終関門である国家試験の合格率も気になるところです。
- ・卒業後の進路: 多くの卒業生が高知大学医学部附属病院や、高知県内の関連病院で初期研修を行います。地域医療を担う人材として、県内外で活躍しています。
- ・医師国家試験合格率: 毎年、全国平均を上回る高い合格率を維持しています。2024年(第118回)の合格率は、新卒者で96.4%と全国平均(95.4%)を上回る素晴らしい結果でした。これは、6年間の手厚い教育の質の高さを証明しています。 (参考:厚生労働省 第118回医師国家試験の学校別合格者状況)
【高知大学医学部】よくある質問

最後に、受験生や保護者の方からよく寄せられる質問にお答えします。
再受験や多浪生に寛容?不利になる?
年齢や経歴だけで一律に不合格になることはありません。実際に、毎年多くの再受験生や多浪生が合格しています。
ただし、面接では「なぜ再び医師を目指すのか」「これまでの経験を医療にどう活かすのか」といった点を深く問われます。現役生以上に、明確な目的意識と論理的な説明能力が求められると考えて準備を進めましょう。
高知大学医学部を含め、多浪生や再受験生の合格可能性が気になる方は、こちらの記事も参考にしてください。
在学生・卒業生からの評判や口コミ
実際に通っている学生からは、どのような声が聞かれるのでしょうか。
- ・良い評判
- →「先生や先輩との距離が近く、アットホームな雰囲気」
- →「地域医療について深く学べるプログラムが充実している」
- →「自然が豊かで、勉強に集中できる環境」
- ・気になる点
- →「市街地から少し離れているため、車がないと少し不便」
- →「都会と比べると遊ぶ場所は少ない」
学習環境や教育内容に対する満足度は非常に高いようです。地域医療に貢献したいという明確な目標がある学生にとっては、最高の環境と言えるでしょう。
他大学医学部との難易度比較
四国内の医学部の中では、徳島大学と並んでやや難易度が高い位置づけです。中国・四国地方の国公立医学部の中では、岡山大学、広島大学に次ぐ難易度グループに属します。
最終的な志望校は、偏差値だけでなく、大学の教育方針、立地、研究内容などを総合的に比較して決めることが大切です。オープンキャンパスに積極的に参加し、自分に合った大学を見つけてください。
まとめ
今回は、高知大学医学部の難易度について、偏差値から入試データ、科目別対策まで詳しく解説しました。
最後に、合格を掴むためのポイントをまとめます。
- ・偏差値の目安は65.0。国公立医学部の中では標準レベルだが、最難関であることに変わりはない。
- ・共通テストでは8割近い得点を目指すことが合格への第一歩。
- ・二次試験は数学と理科の配点が高く、ここで差がつく。標準問題を確実に解ききる力が重要。
- ・面接の配点が150点と高いため、志望理由や高知県の医療について深く考え、話す練習が不可欠。
- ・地域医療を学ぶ実践的なカリキュラムが魅力。明確な目標を持つ受験生に最適な大学。
高知大学医学部への道は険しいですが、正しい情報を元に、適切な戦略を立てて努力を続ければ、合格の可能性は十分にあります。
この記事が、あなたの夢を叶えるための一助となれば幸いです。頑張ってください!
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