国公立大学医学部の後期試験は、実施大学が少なく情報も限られるため、多くの受験生が不安を抱えているのではないでしょうか。特に前期試験の結果が思わしくなく、後期での逆転合格を目指す方にとっては、正確な情報に基づいた戦略が不可欠です。
この記事では、三重大学医学部の後期試験に焦点を当て、最新の入試情報や合格難易度、そして合否を分ける「小論文」の対策法まで、徹底的に解説します。
この記事を読めば、あなたが三重大学医学部後期試験に合格するために「今、何をすべきか」が明確になります。最後まで読んで、ライバルに差をつけましょう。
【三重大学医学部】後期の入試概要

まずは、三重大学医学部後期試験の全体像を把握しましょう。2025年度の入試日程、募集人数、選抜方法といった基本情報を正確に把握することが、対策の第一歩です。
2025年度の入試日程
2025年度(令和7年度)の入試日程は以下の通りです。出願期間が短いため、事前に準備を進めておきましょう。
- ・出願期間: 2025年1月27日(月)~2月5日(水)
- ・試験日: 2025年3月12日(水)
- ・合格発表日: 2025年3月21日(金)
(参考:三重大学 令和7年度入学者選抜要項)
募集人数と出願資格
後期試験の募集人数は非常に限られています。
- ・募集人数: 医学科 15名
- ・出願資格: 大学入学共通テストで、大学が指定する5教科7科目を受験した者。
募集人数が少ないため、必然的に厳しい戦いとなります。しかし、だからこそ適切な対策が合格の鍵を握ります。
選抜方法の全体像
三重大学医学部後期の選抜は、大学入学共通テストと個別学力検査(小論文)の成績を総合して行われます。
面接試験は課されず、純粋に共通テストの得点と小論文の評価で合否が決まるのが大きな特徴です。学力に自信があり、文章で論理的に思考を表現することが得意な受験生にとっては、有利な選抜方法と言えるでしょう。
【三重大学医学部】合格難易度とボーダーライン

次に、受験生が最も気になる合格難易度について、客観的なデータを見ていきましょう。偏差値や共通テストのボーダーラインは、自身の現在地と目標設定に不可欠な指標です。
三重大学医学部の偏差値
大手予備校が公表している三重大学医学部の偏差値は、以下の通りです。
- ・偏差値 67.5
これは国公立大学医学部の中では中堅レベルに位置しますが、後期試験は前期でより難関の大学を受験した層も流入するため、実際の難易度は偏差値の数値以上に高くなる傾向があります。 (参考:河合塾 医進塾)
全国の医学部偏差値ランキングと照らして自分の位置を把握しておきたい方にはこちらがおすすめです。
共通テストのボーダー得点率
後期試験で合格を目指すには、共通テストで高得点を確保しておくことが重要です。
- ・共通テストボーダー得点率(河合塾) 88%
このボーダーラインはあくまで目安です。しかし、共通テストの配点が大きいため、最低でも85%以上は獲得しておきたいところです。もしボーダーに届いていなくても、配点の高い二次試験の小論文で高評価を得られれば、逆転合格の可能性は十分にあります。
医学部受験では「共通テストで足切りされるかどうか」が第一関門となる場合もあります。足切り制度とその回避戦略についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
過去の入試倍率と合格最低点
過去の入試結果を見ると、後期試験の厳しさがよく分かります。
年度 | 志願者数 | 受験者数 | 合格者数 | 実質倍率 | 合格最低点(1300点満点) |
---|---|---|---|---|---|
2024 | 261 | 81 | 15 | 5.4倍 | 1078.80 |
2023 | 280 | 88 | 15 | 5.9倍 | 1050.40 |
2022 | 301 | 100 | 15 | 6.7倍 | 1072.40 |
(参考:三重大学 入試情報公開)
実質倍率は毎年5倍〜7倍前後で推移しており、非常に狭き門であることがわかります。合格最低点も1300点満点中1050点を超えており、共通テストと小論文の両方で高いレベルが求められます。
【三重大学医学部】入試科目と配点

ここでは、合否に直結する入試科目と配点を詳しく解説します。共通テストと二次試験の配点バランスを理解し、戦略的に学習計画を立てましょう。
共通テストの科目と配点
共通テストは5教科7科目が課され、合計900点満点です。
教科 | 科目 | 配点 |
---|---|---|
国語 | 国語 | 200 |
地歴・公民 | 世B、日B、地理B、「倫・政経」から1 | 100 |
数学 | 数ⅠA、数ⅡB | 200 |
理科 | 物、化、生から2 | 200 |
外国語 | 英(リーディング・リスニング) | 200 |
二次試験の科目と配点(小論文)
二次試験は小論文のみですが、その配点は非常に高くなっています。
- ・科目 小論文
- ・配点 400点
共通テストと二次の配点比率
総点1300点満点における、共通テストと二次試験の配点比率は以下の通りです。
- ・共通テスト 900点(約69.2%)
- ・二次試験(小論文) 400点(約30.8%)
共通テストで高得点を取ることが基本戦略ですが、二次試験の小論文が約3割を占めるため、ここで高得点を取れれば、共通テストの多少のビハインドを挽回することも可能です。小論文対策を疎かにして合格はありえません。
【三重大学医学部】後期試験の合否を分ける小論文対策

三重大学医学部後期の小論文は、読解力、論理的思考力、そして医療への関心が問われる総合的な試験です。 ここでは、具体的な対策方法を詳しく解説します。
試験時間と評価方法
- ・試験時間: 120分
- ・評価方法: 三重大学の募集要項には、小論文の評価について「読解力、論理的構成力、表現力などを評価します」と記載されています。これは、単に文章が上手いかどうかではなく、以下の点が総合的に見られていることを意味します。
- →課題文の主張を正確に理解できているか(読解力)
- →自分の意見を筋道立てて説明できているか(論理的構成力)
- →問いに対して的確に、かつ分かりやすく答えられているか(表現力)
- →医師を目指す者としての倫理観や人間性
過去の出題テーマと傾向分析
過去には以下のようなテーマが出題されています。
- ・科学技術の発展と人間の幸福の関係性
- ・グローバル化社会における文化の多様性
- ・AI(人工知能)が社会や人間に与える影響
- ・現代社会における「死」の捉え方
- ・共同体と個人の関係性
傾向としては、医療に直接関係のない、科学、哲学、社会問題などに関する長文の課題文を読ませ、その内容の要約と、それに対する自身の見解を論述させる形式がほとんどです。一見すると医学と無関係に見えるテーマから、受験生の思考の深さや多角的な視点、医師としての適性を見極めようという意図がうかがえます。
高評価を得るための書き方と構成
120分という時間内で質の高い答案を作成するためには、型(構成)を意識することが重要です。
- ・第1段落:課題文の要約 まずは課題文の筆者の主張を200字〜300字程度で簡潔にまとめます。ここで読解力の高さを示しましょう。
- ・第2段落:設問に対する自分の意見提示 設問で問われていることに対して、「私は〜と考える」というように、自分の立場や意見を明確に述べます。
- ・第3段落:意見の根拠と具体例 なぜそのように考えるのか、理由を具体的に説明します。自分の体験や、社会問題、医療現場で起こりうることなどを具体例として挙げると、説得力が増します。ここで思考の深さや多角的な視点が評価されます。
- ・第4段落:結論 最後に、全体の論旨をまとめ、自分の意見を再度強調して締めくくります。「医師として〜の視点を持ちたい」といった将来の展望に繋げられると、より良い印象を与えられます。
おすすめの参考書と勉強法
小論文に「これだけやればOK」という特効薬はありません。日々の積み重ねが重要です。
新聞の社説やコラムの要約
朝日新聞の「天声人語」や読売新聞の「編集手帳」などを毎日読み、200字程度で要約する練習は非常に効果的です。 現代社会が抱える問題への知見が深まり、論理的な文章構成の訓練にもなります。
過去問演習と添削
最も重要な対策は、実際に過去問を時間を計って解き、信頼できる第三者(予備校や学校の先生)に添削してもらうことです。 客観的な評価を受けることで、自分では気づけない弱点や改善点が明確になります。最低でも5年分は繰り返し解きましょう。
医療・生命倫理関連の書籍を読む
直接的な出題は少なくても、医師としての倫理観や価値観は答案の随所に表れます。『生命倫理とは何か』(香川知晶 著)などの入門書を読んでおくと、医療と社会の関わりについて考える際の引き出しが増え、答案に深みが出ます。
三重大学の後期試験では小論文の比重が非常に大きく、対策の出来が合否を左右します。小論文全般の頻出テーマや書き方のコツは、こちらの記事でも詳しく解説しています。
【三重大学医学部】後期のよくある質問

最後に、受験生が抱きがちな疑問についてQ&A形式でお答えします。受験生が抱きがちな疑問を解消し、安心して試験に臨みましょう。
Q.三重大学医学部の後期試験に面接はありますか?
A.いいえ、三重大学医学部の後期試験では面接は課されません。 選抜は大学入学共通テスト(900点)と小論文(400点)の合計点で決まります。コミュニケーション能力よりも、学力と論理的思考力が重視される試験です。
Q.三重大学医学部の再受験生や社会人受験は不利ですか?
A.いいえ、年齢や経歴によって不利になることは一切ありません。 合否は完全に学力試験の結果で判断されます。むしろ、社会人経験などで得た独自の視点や経験を小論文に活かすことができれば、他の受験生との差別化を図る武器になり得ます。多様な経験は、論理的に記述できれば大きな強みとなります。
Q.三重大学医学部入試では英語の個別試験は課されますか?
A.いいえ、後期試験で英語の個別試験はありません。 英語力は大学入学共通テストの成績(200点満点)で評価されます。二次試験対策としては、小論文に全ての時間を注力することができます。
Q.三重大学医学部の看護学部や推薦入試との違いは?
A.看護学部とは、そもそも目指す専門職が異なるため、入試科目、難易度、選抜方法の全てが異なります。 混同しないように注意してください。 また、医学部の推薦入試(地域枠など)は、出願要件が厳しく、面接や調査書が重視される選抜方法です。一方で後期試験は、共通テストと小論文の学力で評価される一般選抜であり、全く別の入試制度です。
推薦入試(地域枠など)について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
まとめ
今回は、三重大学医学部後期試験の対策について、網羅的に解説しました。最後に、この記事の重要なポイントを振り返りましょう。
- ・三重大学医学部後期は、共通テスト(900点)と400点満点の小論文で合否が決まる。
- ・共通テストのボーダーは88%と高いが、配点の大きい小論文での逆転も十分に可能。
- ・小論文は医療と直接関係のないテーマが出題される傾向にあり、読解力、論理的思考力、多角的な視点が問われる。
- ・対策の鍵は、過去問演習と信頼できる人からの添削を繰り返すこと。
- ・面接はなく、年齢や経歴による有利不利もないため、純粋な学力で勝負できる。
後期試験は精神的にも厳しい戦いですが、最後まで諦めなかった人だけが合格を手にすることができます。この記事で得た情報を武器に、自信を持って試験に臨んでください。あなたの努力が実を結ぶことを心から応援しています。